肥満は老化を悪化させる

肥満と老化の間には密接な関連性があり、肥満は老化を加速させる、あるいは老化に伴う様々な人体に及ぼす現象を悪化させることが多くの研究で示唆されています。

本稿では、この肥満と老化の関連性について掘り下げたいと思います。

肥満が老化を加速させるメカニズム

  • 慢性炎症の促進: 肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、炎症性サイトカインと呼ばれる生理活性物質の過剰な分泌を引き起こし、体内で慢性的な軽い炎症(慢性炎症)を引き起こします。この慢性炎症は、細胞や組織にダメージを与え、老化を促進する要因となります。
  • 酸化ストレスの増加: 肥満状態では、脂肪組織が拡大するにつれて**活性酸素種(ROS)**が過剰に生成されます。活性酸素は細胞やDNAにダメージを与え、老化を加速させる重要な要因です。
  • インスリン抵抗性と糖化: 肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、血糖値を正常に調整する能力を低下させます。高血糖状態が続くと、タンパク質と糖が結合する糖化が進み、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる老化物質が蓄積されます。AGEsは、肌のハリを失わせたり、血管を硬くしたりするなど、全身の老化を促進します。
  • テロメア短縮の促進: テロメアは染色体の末端に存在する構造で、細胞分裂のたびに短くなり、限界まで短くなると細胞は分裂できなくなり老化します。肥満は、慢性炎症や酸化ストレスを通じて、このテロメアの短縮を加速させることが示唆されています。
  • ミトコンドリア機能の低下: ミトコンドリアは細胞内のエネルギー生産工場ですが、肥満によってその機能が低下します。ミトコンドリアの機能低下は、エネルギー代謝の効率を悪化させ、老化プロセスを加速させる可能性があります。
  • 脂肪細胞の異機能: 肥満になると、脂肪細胞は単に脂肪を貯蔵するだけでなく、様々な生理活性物質を分泌し、炎症や代謝異常を引き起こします。脂肪細胞の老化も、全身の老化に影響を与えると考えられています。

肥満が関連する老化に伴う疾患リスクの増加

肥満は、細胞レベルでの老化を加速させるだけでなく、老化に伴って発症しやすい様々な疾患のリスクを高めます。

  • 心血管疾患: 肥満は動脈硬化を引き起こし、高血圧、高脂血症などを合併しやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
  • 2型糖尿病: インスリン抵抗性を引き起こし、血糖コントロールを悪化させ、糖尿病の発症リスクを高めます。
  • がん: 肥満は、特定の癌(大腸癌、乳癌、肝臓癌など)のリスクを増加させることが研究で示されています。慢性炎症やホルモンバランスの乱れなどが関与していると考えられています。
  • 認知症: 肥満による慢性炎症や酸化ストレスは、脳にも悪影響を与え、認知機能の低下やアルツハイマー病のリスクを増加させる可能性があります。
  • 変形性関節症: 過体重は関節への負担を増大させ、関節の老化を促進します。
  • サルコペニア(筋肉減少症): 肥満は筋肉の質を低下させ、筋力低下や筋肉量の減少を招き、転倒や要介護のリスクを高めます。

いかがでしょうか?

肥満は、様々なメカニズムを通じて細胞レベルから全身の老化を加速させ、老化に伴う疾患のリスクを高めることが明らかになっています。

当院のような医療ダイエットクリニックなぼで治療を行い健康的な体重を維持することは、健康寿命を延ばし、より質の高い老後を送るために非常に重要です。

上記の要因を念頭に置いてより良い生活習慣を心がけ、肥満を予防・改善することが、アンチエイジングの観点からも重要と言えるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました