
みなさんの中には、健康の為に果物(フルーツ)を積極的に食べている方がいらっしゃると思います。
このように果物は健康に良いというイメージが強い傾向にありますが、実は果物(フルーツ)の食べ過ぎ・摂り過ぎは肥満の原因になります。そして、この果物(フルーツ)による肥満の諸悪の根源は、主に果物に含まれる果糖です。
本稿では、“果物(フルーツ)”がいかにダイエット治療の妨げになるかを解説します。
果物(フルーツ)が肥満の原因になる理由
- 果糖の過剰摂取と肝臓での脂肪合成
- 果物に含まれる**果糖(フルクトース)**は、ブドウ糖(グルコース)とは体内の代謝経路が異なります。ブドウ糖は全身の細胞でエネルギーとして利用されますが、果糖は主に肝臓で代謝されます。
- 果糖を過剰に摂取すると、肝臓での代謝が追いつかなくなり、余った果糖が中性脂肪として合成されやすくなります。この中性脂肪は、特に内臓脂肪として蓄積されやすく、肥満の直接的な原因となることがあります。
- 血糖値スパイクの項目でも説明したように、ブドウ糖は血糖値を上げてインスリンを分泌させ、満腹感につながりますが、果糖は血糖値を直接的にはほとんど上げません。そのため、満腹中枢が刺激されにくく、ついつい食べ過ぎてしまいやすいという側面もあります。
- 高GI値の果物と血糖値の乱高下
- 果物の中には、GI値(グリセミック・インデックス:食後の血糖値の上昇度合いを示す指標)が高いものもあります。例えば、バナナ、ブドウ、マンゴー、パイナップル、熟した柿などは比較的GI値が高い傾向にあります。
- 高GI値の果物を一度にたくさん食べると、血糖値が急激に上昇し、それに反応してインスリンが大量に分泌されます。インスリンは血糖値を下げるだけでなく、脂肪の合成を促進し、分解を抑制する働きがあるため、結果的に体脂肪が蓄積されやすくなります。
- カロリーオーバーと食べ過ぎ
- 「健康に良いから」という理由で、果物を大量に摂取してしまうと、いくらヘルシーな食品であっても、総摂取カロリーが消費カロリーを上回り、体重増加につながります。特に、甘みの強い果物はカロリーも高めです。
果汁100%ジュースが肥満の原因になる理由
果汁100%ジュースは、生の果物よりもさらに肥満のリスクを高めます。
- 食物繊維の欠如または大幅な減少
- ジュースにすることで、果物に含まれる食物繊維がほとんど取り除かれてしまいます。食物繊維は、糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。また、消化に時間がかかり、満腹感を持続させる効果もあります。
- 食物繊維がない分、ジュースは糖が素早く吸収され、血糖値が急激に上昇しやすくなります。
- 「飲む」ことによる過剰摂取
- 固形の果物を食べる場合は、噛むことで満腹感を得られやすく、食べる量も自然と抑えられます。しかし、ジュースは喉越しが良いため、無意識のうちに何杯も飲んでしまいがちです。
- 例えば、コップ1杯のオレンジジュースを作るのに、何個ものオレンジが必要になります。それらを一度に摂取することになるため、生で食べるよりもはるかに多くの糖分とカロリーを短時間で摂取してしまうことになります。
- 満腹感の欠如
- 液体であるため、咀嚼による満腹感が得られにくく、脳が「食べた」と認識しにくい傾向があります。その結果、ジュースを飲んだ後もすぐにお腹が空いて、別のものを食べてしまう「二重取り」になりやすいです。
“太らない”ための果物(フルーツ)・果汁100%ジュースの摂り方
- 適量を守る: 厚生労働省が推奨する1日の果物の摂取目安は100~150g以下です(みかん1~2個、りんご半分~1個など)。
- 果汁100%ジュースは飲まない: どうしても飲みたい場合は、1日にコップ一杯のみとし、水分補給はあくまでも水や無糖のお茶、無糖の炭酸水 などで補給しましょう。
いかがでしょうか?
上記のように、一見“健康食品”のように錯覚してしまう果物(フルーツ)ですが、実は、ダイエット治療においてはむしろ“毒”であるのが現状です。
果物(フルーツ)を摂取する際は、この記事を参考にしながら適量を摂取し、取り過ぎにはくれぐれもご注意くださいね!