NEW!2025-05-24 09:45:43テーマ:ブログ

低血糖発作は、その名前の通り、血液中の糖分(血糖値)が正常範囲よりも異常に低くなることで、脳や全身の臓器に必要なエネルギーが供給されなくなり、様々な症状を引き起こす状態です。
特に、脳はブドウ糖を主要なエネルギー源としているため、低血糖は脳に深刻な影響を及ぼし、非常に恐ろしい事態を招く可能性があります。
本稿では、ダイエット目的などでGLP-1作動薬を使用した際に懸念される低血糖発作の恐ろしさについて解説します。
低血糖発作の恐ろしさのポイント
- 突然の発症と急速な進行:
- 血糖値の急激な低下は、非常に早く進行することがあります。特に糖尿病の治療薬(インスリン注射や一部の飲み薬)を使用している場合、食事の遅れ、食事量の不足、過度な運動などが引き金となり、あっという間に症状が出始めることがあります。
- 自覚症状があるうちに適切に対処できなければ、急速に重症化し、意識障害に陥ることも珍しくありません。
- 脳への深刻なダメージと後遺症の可能性:
- 脳はブドウ糖を主なエネルギー源としているため、低血糖が続くと脳細胞がエネルギー不足に陥り、機能が低下します。
- 意識障害: 軽度であれば集中力低下や判断力の低下ですが、重症化すると意識がもうろうとしたり、呼びかけに応じなくなったり、最終的には昏睡状態に陥ることがあります。
- けいれん発作: 脳の機能が著しく低下すると、全身のけいれん発作を引き起こすことがあります。
- 永続的な脳損傷: 長時間重度の低血糖状態が続くと、脳細胞が不可逆的なダメージを受け、回復後に重い後遺症(認知機能障害、麻痺など)が残る可能性があります。最悪の場合、死に至ることもあります。
- 予測不能な行動と事故のリスク:
- 脳の機能が低下することで、意識障害の前に、普段とは異なる行動(異常な言動、徘徊、攻撃的になるなど)が見られることがあります。
- このような状況で、車の運転中や機械作業中などに低血糖発作が起こると、重大な交通事故や労働災害を引き起こすリスクが極めて高くなります。本人だけでなく、周囲の人々を巻き込む可能性もあるため、非常に危険です。
- 医療機関では、低血糖発作を繰り返す患者には、自動車運転の制限を指導することもあります。
- 夜間低血糖の危険性:
- 就寝中に低血糖が起こることを「夜間低血糖」と呼びます。睡眠中であるため、症状に気づきにくく、対処が遅れがちになります。
- 朝まで低血糖が続き、脳にダメージを受けて朝目覚めたときに意識が回復しない、けいれんを起こしているといった状況になることがあります。
- また、夜間低血糖は「deads in bed syndrome(ベッド死症候群)」のリスクを高める可能性も指摘されています。
- 自律神経系の異常:
- 血糖値が下がると、体は血糖値を上げようとして、交感神経を活性化させます。これにより、動悸、冷や汗、手の震え、強い空腹感、不安感などの症状が現れます。
- これらの症状は不快であり、不安を増幅させ、日常生活の質を低下させます。
もし低血糖発作が起こったら(あるいは疑われたら)
- 意識がある場合:
- すぐに糖分を摂取する(ブドウ糖タブレット、砂糖、ジュースなど)。飴やチョコレートは吸収が遅いので、緊急時には不向きです。
- 10~15分待って症状が改善しない場合は、再度糖分を摂取する。
- 意識がない場合:
- 周囲の人に助けを求める。
- 救急車を呼ぶ(119番)。
- 口の中に食べ物や飲み物を無理に入れるのは危険(誤嚥の可能性がある)なので、避けましょう。
- 糖尿病患者であれば、グルカゴン注射がある場合は、その使用法を知っている人が注射する。
いかがでしたでしょうか?
“低血糖発作”は一歩間違うと死に至る恐ろしい状態ですが、世間では軽視されている傾向にあることはとても残念です。
ダイエットなどを目的にGLP-1作動薬に安易に手を出さず、まずはお近くのダイエット治療医へご相談されることをお勧めします。