
夏に水分を摂り過ぎると太ってしまうと感じる現象は、主に**むくみ(浮腫)**が原因であることが多いです。
厳密には「体脂肪が増える=太る」わけではありませんが、体重が増加し、見た目にも太って見えるため、そう感じやすいのです。
本稿では、いわゆる“夏太り”の原因について解説します。
むくみ(浮腫)とは?
むくみは、体内の水分バランスが崩れ、細胞と細胞の間(細胞間質)に余分な水分が溜まった状態を指します。体重の増加として現れるのは、主にこの余分な水分の増加によるものです。
なぜ夏に水分を摂り過ぎるとむくみやすいのか?
夏は特にむくみやすい条件が揃っています。
- 水分の過剰摂取: 暑さで喉が渇きやすいため、意識的または無意識的に水やお茶、ジュースなどを大量に摂取しがちです。特に、ミネラルバランスが崩れるような飲み方(例:真水ばかりを大量に飲む、糖分やカフェインを多く含む飲み物ばかり飲む)は、むくみを悪化させる可能性があります。
- 塩分の摂りすぎ: 汗を大量にかくことで体内のミネラルが失われるため、塩分を意識的に摂る人もいますが、過剰な塩分摂取は体内の水分を抱え込み、むくみを引き起こします。冷たい麺類や加工食品など、夏に摂りがちな食事には塩分が多い傾向があります。
- 冷たい飲食物による体の冷え: 冷たい飲み物やアイスクリーム、かき氷などを摂りすぎると、胃腸などの内臓が冷えて働きが低下します。内臓機能が低下すると、水分の代謝が滞り、むくみやすくなります。
- 冷房による自律神経の乱れと血行不良:
- 屋外の暑さと冷房の効いた室内との温度差が大きいと、体温調節を担う自律神経が乱れます。自律神経の乱れは、血管の収縮・拡張のコントロールを妨げ、血行不良を引き起こします。
- 血行不良は、体内の水分の巡りを悪くし、むくみの原因となります。
- 運動不足・活動量の低下:
- 暑さで運動を控えたり、外出が減ったりすると、下半身の筋肉(特にふくらはぎ)を使う機会が減ります。ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と呼ばれ、ポンプ作用で下半身の血液を心臓に戻す役割をしています。このポンプ作用が低下すると、足に水分が滞留しやすくなり、むくみが生じます。
“むくみ”と“体脂肪増加”の違い
- むくみによる体重増加: 体内に一時的に蓄えられた余分な水分によるものです。見た目は太って見えますが、脂肪細胞が増えたわけではありません。
- 体脂肪の増加: 糖質摂取量が糖質消費量を上回り、余った糖質がインスリンの作用で脂肪に変換されて、その脂肪が全身の脂肪細胞(皮下脂肪や内臓脂肪)に蓄積された状態です。こちらは文字通り「太った(肥満した)」状態です。
むくみによる「夏バテ太り」を防ぐには
むくみやすい夏だからこそ、以下の点に注意して水分を摂取し、むくみを防ぐことが重要です。
- 適切な水分摂取を心がける:
- 一度に大量に飲むのではなく、こまめに少量ずつ(例:コップ1杯程度を1~2時間おきに)摂りましょう。
- 喉が渇く前に水分補給をすることが大切です。
- 理想は**常温の水やお茶(カフェインの少ないもの)**です。冷たすぎる飲み物は避けましょう。
- 大量に汗をかいた場合は、スポーツドリンクや経口補水液などで電解質(ナトリウム、カリウムなど)を補給することも有効です。ただし、糖質の摂りすぎに注意です。糖質の摂りすぎは、下記のような体脂肪増加による“肥満”を誘発してしまうので注意しましょう!
- 塩分摂取量を適切に:
- 過剰な塩分摂取は控えましょう。加工食品や外食が多い場合は特に注意が必要です。
- カリウムを多く含む食品(野菜、果物、海藻など)を積極的に摂り、余分なナトリウムの排出を促しましょう。
- 体を冷やしすぎない:
- 冷たい飲食物の摂りすぎを控え、意識的に温かいものを摂りましょう。
- エアコンの温度設定に注意し、カーディガンやひざ掛けなどで体を冷やさないようにしましょう。
- 適度な運動と血行促進:
- 暑い時間を避け、朝夕の涼しい時間帯に軽いウォーキングなどを行い、血行促進と筋肉のポンプ作用を活発にしましょう。
- 当院で導入している“スティムシュア”で全身の筋肉をケアすることにより筋肉のポンプ作用が向上して、むくみによる“水太り”が簡単に改善します。
- 入浴で体を温めたり、足のマッサージ、着圧ソックスの利用なども効果的です。
夏に体重が増えたと感じる場合、それが体脂肪の増加(肥満)なのか、あるいはむくみによるものなのかを見極めることが大切です。むくみが原因であれば、上記の対策で改善されることが期待できます。
「肥満」と「水太り」はなかなか素人の方には区別が付きにくいことが多いですので、お近くのダイエット治療医へお気軽にご相談されることをお勧め致します。